朝倉研究室で学ぶこと

朝倉研究室に入ったら実際どんなことをするの?

 研究室生活を通じて学ぶことや日々の実験について紹介します。
(1) 電気化学測定の基本と応用~タンパク質の電子伝達反応~
(2) タンパク質の精製
(3) 有機合成
(4) 新しい測定法開発への取り組み
(5) Input-科学論文の読み方
(6) Output-科学文書の作成,プレゼンの仕方
(7) 番外編~イベントなど~


(1)電気化学測定の基本と応用~タンパク質の電子伝達反応~

 酸化還元タンパク質の研究と電気化学は切っても切り離せない関係にあります。 そのため,研究室メンバーのほぼ全員が電気化学の実験に関わります。 学生実験で触れる機会はありませんが、研究室に配属してから電気化学を学びます。 研修で電気化学の基礎となる理論・実験法を学び,それぞれの研究テーマへと移っていきます。
 電気化学実験の大まかな流れは電極の準備、測定、解析のサイクルです。 測定は数時間で終わるものが多いですが、電極の調製や解析の段階で試行錯誤を繰り返します。 ルーチンで行なう実験や長時間の操作が必要な実験は比較的少なく,考えることの多い実験です。

●電極の調製
~炭素電極編~

~金電極,ITO透明電極,水晶振動子金電極編~
 電極表面上に複数の分子を連結して固定化することがポイントになります。 特にタンパク質の配向制御は難易度が高く,タンパク質の結晶構造や表面電荷, 有機合成のテクニックを学びながら新しい結合方法を創造していきます。 調製したサンプルは,自分で構築した装置を用いて測定します。 下図は電極表面に酸化還元する分子を単分子層で固定化する手法です。 共有結合可能な官能基の組み合わせを考えて電極表面に分子を積み上げていきます。 反応条件(溶媒、濃度、温度、pH、時間など)を検討および使える反応系や分子を探索し, 目的の電極を作り上げていきます。



●解析
 ネルンストの式やマーカス理論,反応速度論等,理論に基づいて, パラメータを振って測定を行ない,データを解析していきます。 日々新しいデータと向き合いながら,電子移動反応のメカニズム解明に取り組んでいます。


(2)タンパク質の精製

 朝倉研では,研究室で調製したタンパク質を用いて実験を行なっています。 遺伝子組み換えタンパク質を用いることもよくあります。これらタンパク質を扱う上で, タンパク質の精製技術を学ぶことは重要です。ゲル濾過,イオン交換クロマトグラフィー, 遠心分離,タンパク質固定化表面の洗浄等の実験操作を通じて, タンパク質の性質理解を深めながら研究を進めています。

(3)有機合成

 光増感体と電子伝達体の結合分子や電極表面構築に用いる分子の有機合成を行ないます。 使用目的に合った官能基や分子長さを考え,分子を設計します。 目的の化合物を得るための反応方法、反応比や溶媒、温度条件などを考えます。 多段階反応が必要になることもあります。 反応によって反応条件(反応比、溶媒、温度、反応時間)や精製の方法が異なるため、 試行錯誤しながら合成していきます。



(4)新しい測定法開発への取り組み


 これまで誰も見たことのない現象を測定し明らかにするには, 新しい装置が必要になります。どこにも売っていません。朝倉研では, 新しい測定機器の開発も重要な研究の一部と位置付け, 学生が主体となって新しい実験法とそれに必要な構成とパーツを考え組み上げます。 欠陥があれば,測定はできません。しかし, 最新機器を開発するためのノウハウと道具が朝倉研にはあります。 ものづくりのアイディアと技術を磨くことができます。
 高感度分光電気化学測定装置のほか,●走査型電気化学顕微鏡(SECM法)や ●高感度EQCM法,●ナノ秒レーザーフラッシュ法など, 分子のナノレベルの動きをモニターするための装置構築と操作方法の開発に取り組んでいます。

(5)Input-科学論文の読み方

 研究室では,毎週雑誌会を行ない,最新の研究についてみんなで勉強しています。 雑誌会では,最新の研究知識だけでなく,論文の探し方,読み方等, インプットの方法も養います。科学論文や専門書を参照して学び, 自分の研究へと応用していく力を身に付けていきます。

(6)Output-科学文書の作成,プレゼンの仕方

 研究して挙げた成果は,卒業論文,修士論文,博士論文の発表会に加えて, 学会発表や科学論文投稿を行ないます。科学者として,論理的な考え方や 科学的で正しい文章の書き方,プレゼンテーション,ディスカッション,準備の仕方, を学びます。まったく新しい研究とは,説明が難しいものです。 方法論だけでなく,相手にわかりやすい話し方,読みやすく正しく伝わる文章, 見やすい図の作成,資料レイアウト等について,日々高める努力を続けています。

(7)番外編~イベントなど~

●特筆すべきはビールサーバー!歓迎会や打ち上げなどの際には,フレッシュでおいしいビールで乾杯!
●コアタイム時間外には,みんなでスポーツを楽しむことも。 研究室対抗のバレーボール大会に参加し,2012年準優勝と2011年優勝の好成績! テニスやキャッチボール,卓球,トレーニング等をして遊んだり, みんなで仲良く夕食を食べにいくこともあります。
●年に1度の研究室旅行。例年,1泊2日で秋の週末に行くことが多く,企画は4年生が考えます。 近年行った場所は,ビール工場見学,日本酒蔵見学,BBQ,パークゴルフ, ディズニーランド&シー,温泉旅館などです。